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広島地方裁判所 昭和45年(わ)102号 判決

本籍

広島県沼隈郡沼隈町大字能登原九四番地

住居

福山市本庄町六三六番地

医師

寺岡宏

昭和二年一一月三日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官松原正大出席のうえ、審理をして、次のとおり判決する。

主文

被告人を罰金四〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金六、〇〇〇円を

一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、昭和四三年末ころまで福山市本庄町二四四番地の四に居住し、同所に寺岡整形外科病院を開設して医業を営んでいたものであるが、同病院の会計事務を担当する従業者である妻寺岡喜代子において、被告人の業務に関し、被告人の所得税を免れる目的で、所轄税務署長の各年分事業収支状況の照会に対し、自由診療収入等収入金の一部を除外した回答書を作成、送付したうえ、

第一、昭和四一年分の所得金額は、五、四一三万一、八三六円これに対する所得税額は、源泉徴収税額四〇九万八、八一六円を差引いて二、七二二万二、七七〇円であつたのにかかわらず、昭和四二年三月一四日、同市東桜町五番一一号福山税務署において、同税務署長対し、前記回答書に基づいて、右年分の所得金額が四、三六二万一、〇〇〇円でこれに対する所得税額が右源泉徴収額を差引いて一、九九六万二、八〇〇円である旨虚偽の確定申告書を提出し、もつて右年分の正規の所得税額二、七二二万二、七七〇円と右申告税額との差額七二五万九、九七〇円をほ脱し、

第二、昭和四二年分の所得金額は、六、三〇一万四、一七一円これに対する所得税額は、源泉徴収額四五二万五、二七一円を差引いて三、三一七万七、五〇〇円であつたのにかかわらず、昭和四三年三月一四日、前記税務署において、同税務署長に対し、前記回答書に基づいて、右年分の所得金額が四、六三三万六、〇〇〇円でこれに対する所得税額が右源泉徴収額を差引いて二、一三六万三、三〇〇円である旨虚偽の確定申告書を提出し、もつて右年分の正規の所得税額三、三一七万七、五〇〇円と右申告税額との差額一、一八一万四、二〇〇円をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

一、寺岡喜代子作成の大蔵事務官に対する上申書一二通

一、寺岡喜代子の大蔵事務官に対する質問顛末書四通

一、寺岡喜代子の検察官に対する供述調書

一、証人寺岡喜代子の当公判廷における証言

一、国民保健団体連合会理事長作成の証明書

一、日本勧業銀行福山支店長作成の証明書

一、明治商事株式会社作成の証明書

一、福山信用金庫霞町支店長作成の証明書

一、山一証券株式会社福山支店長作成の証明書

一、株式会社広島銀行福山支店長作成の証明書

一、押収にかかる申告書類 一綴(昭和四五年第五〇号の一九)

一、同 所得調査カード 一綴(同 二〇)

一、〃 昭和四一年診療報酬控一綴(同 二)

一、〃 解約預金通帳 二七冊(同 一)

一、〃 当座口振込通知書 一綴(同 一五)

一、〃 労災請求控 一冊(同 四)

一、〃 交通事故一覧表 一冊(同 五)

一、〃 売店経営権利譲渡契約書二綴(同六の一、二)

一、〃 手続 三冊(同七の一、二、三)

一、〃 国鉄共済支払内訳書 一綴(同一四)

一、〃 昭和四二年診療報酬控 一綴(同三)

一、〃 労災請求控 一冊(同九)

一、〃 交通事故収入金メモ 三綴(同一〇、一一、一二)

一、被告人の大蔵事務官に対する質問顛末書

一、共被告人の検察官に対する供述調書

一、被告人の当公判廷における供述

適条

所得税法第二三八条第二四四条一項(罰金刑選択)

刑法第四五条第四八条二項第一八条

(裁判官 竹村寿)

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